FXで参考にしたい経済指標 「米国新規失業保険申請件数」
■米国新規失業保険申請件数
米国新規失業保険申請件数とは、米国内における新規の失業保険の給付申請件数を集計した経済指標です。
通常の経済指標は月に一回の発表が多いのですが、新規失業保険申請件数は、毎週木曜日に米労働省から前週の件数が発表されています。
時間は、ニューヨーク時間の8:30。
毎週発表されるという速報性と、新規に失業保険を申請する人が増えることは、失業者が増えている判断できるため、雇用統計の先行指標として注目されています。
■ 米国新規失業保険申請件数の見方・判断の仕方
雇用統計が月1回の発表ですので、毎週発表される新規失業保険申請件数は、翌月発表される雇用統計の予想に役立てます。
また、「申請件数が40万人を超えると雇用状況がかなり悪い」と判断されます。
そのため「40万人」が重要な数字になります。
ただし、毎週発表されることから、祝祭日やハリケーンや豪雪など天候の影響を受けやすいという特徴があります。
そのため、一定期間の移動平均を参考にするといいでしょう。
また、アメリカでは全ての労働者が失業保険に加入しているわけではありません。
数値が全体を把握していないことも知っておきましょう。
ちなみに、米国新規失業保険申請件数は、景気のピーク・ボトムに対して2~3ヶ月の先行性があると言われています。
FXで参考にしたい経済指標 「米国新築住宅販売件数」
■米国新築住宅販売件数とは
米国新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数を、米商務省統計局が集計して毎月発表している経済指標です。
住宅需要の高まりは、建設資材や家具、家電製品などの需要拡大に波及するため、景気全体への影響が非常に大きいといわれています。
これが、「住宅需要は景気動向と密接な関連性を持っている」といわれる所以で、住宅関連の指標の「中古住宅販売件数」と同様、米国の景気動向に対して先行性が高い経済指標といわれています。
■米国新築住宅販売件数の発表時期・時間
米国新築住宅販売件数は、前月の28日から当月4日までに米国内で販売された新築住宅件数を、毎月24日から月末にかけて発表されます。
発表するのは米商務省です。
■米国新築住宅販売件数の見方・判断の仕方
アメリカの新築住宅販売件数は、季節調整済みの年率換算で70万戸前後(2008年)であり、中古住宅販売件数の1/10程度の市場規模です。
新築販売が中心の日本と異なり、中古住宅の販売が多いアメリカでは、住宅需要の全体像を把握するには、中古住宅販売件数と合わせて確認する必要があります。
ちなみに、新築住宅販売件数は契約書への署名ベースであるため、所有権移転完了ベースで集計する中古住宅販売件数と比較して、30日~60日程先行します。
こうした指数の相関性も知っておくといいでしょう。
FXで参考にしたい経済指標 「米国中古住宅販売件数」
■米国中古住宅販売件数とは
米国中古住宅販売件数とは、当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数のことで、住宅需要を判断する指標のひとつです。
住宅需要の高まりは、建設資材や家具、家電製品などの需要拡大に波及するため、景気全体への影響が非常に大きいといわれています。
これが、「住宅需要は景気動向と密接な関連性を持っている」といわれる所以で、住宅関連の指標の「新築住宅販売件数」と同様、米国の景気動向に対して先行性が高い経済指標といわれています。
■ なぜ、中古住宅販売件数が指標となるのか
日本で中古住宅市場は、あまり注目されていません。
いっぽうアメリカでは中古住宅市場が成熟しているため、「ライフステージに合わせて中古住宅を住み替えていく」というのが一般的です。
そのため、新築住宅販売と同様に中古住宅販売件数が景気動向の先行指標として注目されています。
■ 米国中古住宅販売件数の発表時期・時間
米国中古住宅販売件数は、NAR(全米不動産業者協会)から毎月25日に、前月の結果が発表されます。
■ 米国中古住宅販売件数の見方・判断の仕方
新築住宅販売件数が契約書へのであるのに対し、
中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計するので、署名ベースの新築住宅販売件数に対して30~60日の遅効性があるといわれています。
また、住宅需要に関する経済指標は、所得状況やモゲージローン金利動向に影響を受けやすいため、金利上昇期には、ローン金利上昇を見込んだ駆け込み需要が増加します。
また、季節や天候の影響を受けやすく、予測が大きくはずれることもあります。
予想外の数値は「サプライズ」となって大きな影響を及ぼしますので、こうした傾向も把握しておくといいでしょう。
FXで参考にしたい経済指標 「米国雇用統計」
■ 米国雇用統計とは
米国雇用統計とは、「非農業部門雇用者数」、「失業率」の他、「製造業就業者数」、「小売業就業者数」、「週労働時間」、「賃金インフレの状態を示す平均時給」など10数項目の総称です。
雇用情勢の変動は、個人所得や個人消費動向に大きく影響するため、アメリカ国内の雇用情勢の動向がストレートに分かる「米国雇用統計」は最重要な指標といっていいでしょう。
■米国雇用統計の発表時期・時間
米国雇用統計は、毎月第1週目の金曜日、ニューヨーク現地時間午前8時30分に、前月分の結果が発表されます。
日本時間では、夏時間の4月~10月が21時30分、冬時間の11月~3月が22時30分です。発表するのは米国労働省。
■ 米国雇用統計で注目される指標は
米国雇用統計の中で特に注目される指標が「非農業部門雇用者数」です。
非農業部門雇用者数とは、農業以外の部門に属する事業者の給与支払い帳簿を基に、雇用者数を集計したものです。
前月比でどれだけ雇用者が増減したかが注目されています。
また、米国雇用統計のなかの「失業率」も重要な経済指標です。
特に景気後退局面では、失業率の悪化が発表された後、金融緩和(利下げ)が決定されることがみられますので、注目しておかなくてはなりません。
しかし、失業率は景気に遅行しているため、よりリアルタイムの景気に連動した「非農業部門雇用者数」の増減の方が重要視されています。
ユーロ相場を知るための指標 「Ifo景況感指数」と「ZEW景況感指数」
■ Ifo景況感指数とは
ユーロ相場を知るために把握しておきたいのが「Ifo景況感指数(ドイツ)」です。
「Ifo景況感指数」は、Ifo研究所が旧西ドイツ約7000社の役員を対象に、日本の短観と同様の調査・集計を行ったものです。
「Ifo景況感指数」は「生産・在庫・受注・価格・雇用」の項目に分かれ、鉱工業生産との関連が高い指標です。
指標は1991年を100とした指数で示されており、数値だけでなく、前期との比較をすることでトレンドの判断をします。
また、発表が翌月下旬ということもあり、発表の早さから、ドイツの経済指標のなかで最も注目されています。
■ ZEW景況感指数 とは
「ZEW景況感指数」は、民間調査会社であるZEW(欧州経済センター)が経済アナリストに対し調査したものです。
向こう6ヶ月の景気見通しに対する予想を回答してもらい、楽観回答の比率から悲観回答の比率を引いて計算されます。
「ZEW景況感指数」は「Ifo指数」の1週間前に発表されるため、「Ifo指数」に対する先行指標として注目度が高まっています。
「ZEW景況感指数」の動きで全体のトレンドを予想し、後に発表される「Ifo指数」でトレンドを確認する……、という流れになります。
「Ifo景況感指数」および「ZEW景況感指数」については、アナリストによる事前予想がされています。
これらの発表とのブレについても注目すると、より精度が高まりますので、チェックしておくといいでしょう。
FXで参考にしたい経済指標 「鉱工業生産指数」
■ 鉱工業生産指数とは
鉱工業生産は鉱業と製造業の生産高を示す指標で、鉱業と製造業の生産動向を測る上で非常に重要視されています。
また、鉱工業生産指数からは、サービス業の景況や個人消費の状況も推測できます。
例えば、家電や自動車の製品の生産高が増えた場合には、その売れ行きが良いことを意味します。これは、「個人消費が伸びていること」を意味するため、「景況感がいい」との判断ができるからです。
このように、鉱工業生産からは鉱業と製造業の生産動向のみならず、各業種の景況や個人消費の状況も推測できるため、非常に注目されています。
■米国鉱工業生産指数について
米国鉱工業生産指数は、アメリカ経済のファンダメンタルズ分析をする上で重要な経済指標で、2002年を100として比較した指数で示され、前月比で何ポイント増減したかが注目されます。
アメリカのGDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度と少ないものの、景気循環は製造業部門から始まることが多いため、注目されています。
米国鉱工業生産指数はFRB(米連邦準備制度理事会)から、毎月14-17日に月次動向が発表されます。
このとき発表されるのは「前月の指数」です。
ちなみに、米国鉱工業生産指数の発表元がFRBということもあり、金融政策の材料として利用されることもあります。
金利状況を把握するためにも、チェックしておくといいでしょう。
FXで参考にしたい経済指標 「耐久財新規受注」
■ 耐久財新規受注とは
耐久財新規受注とは、企業が受注した耐久財の総額のことです。
耐久財とは3年以上の使用に耐えられる消費財のことで、自動車、航空機、家電製品、家具などが含まれています。
耐久財の受注は、生産段階に入る前に行われているため、生産や民間設備投資に先行する「先行指標」となっています。
■米国耐久財新規受注の発表時期・時間
米国耐久財新規受注は、毎月24、25日前後に米商務省から前月分の集計値が、「X月の耐久財受注額はX億X万ドル、前月比X%増」という具合に、受注額と前月比が発表されます。
この時発表されるのが、前月分の速報値で、製造業受注の全統計発表時に改訂されています。
製造業新規受注のなかで、速報として発表されていることから、注目度が高く、先行性を知るうえで重要な指標となっています。
■ 国耐久財新規受注の見方・注意点
米国耐久財新規受注で発表されるデータの中で、航空機と国防部門からの受注は変動幅が大きいという特徴があります。
そのため、これらの項目を除いた資本財の受注額が、民間の設備投資の先行指標として使います。
また、特殊要因などによって、前月との比較や、市場の事前予想(コンセンサス)と大きくブレる特徴もあります。
前月比や市場予想よりも数値が良ければ「ドル買い」、悪ければ「ドル売り」となるケースが多いので、あらかじめ市場の事前予想(コンセンサス)を把握しておくと良いでしょう。
FXで参考にしたい経済指標 「GDP」
■ GDPとは
GDP「国内総生産」は、Gross Domestic Productの略で、一定期間内に国内全体で新たに生産された財やサービスの付加価値額を合計したものです。
国内全体の生産活動を把握する経済指標で、実質GDPの伸び率で経済が好転しているか、悪化しているかを判断することができます。
また、GDPほとんどの国や地域で発表されていますが、その中でも注目しておきたいのがアメリカのGDPです。
米国GDPは、世界全体のGDPの約3割を占めるため、世界経済全体に大きな影響を及ぼす経済指標として注目されます。
外国為替市場や米国株式市場だけでなく、世界の金融市場への影響も大きいことから、世界経済のトレンドを把握するためにもチェックしておきましょう。
■ GDPの発表時期と回数
GDPは4半期ごとに発表されるのが一般的です。
その際、国によって発表回数が異なります。
英国、米国、ユーロ圏は各四半期とも、速報値、改定値(速報値の約1ヶ月後に発表)、確報値(改定値の約1ヶ月後に発表)と3回発表されます。
いいっぽう、フランスやドイツは各四半期とも、速報値、確報値(速報値の約2週間~4週間後に発表)と2回発表されます。
日本は一次速報、二次速報(一次速報の約1ヶ月後に発表)と2回発表されます。
カナダだけはGDPが毎月発表されます。発表されるのは2ヶ月前のものです。
なお、その他の国の多くは各四半期とも1回のみの発表が一般的です。
■ GDP 指標判断の注意点
前年度比、前期比との比較は重要です。
しかし、これらはたいてい事前予想がされているため、「事前予想より良かったのか、悪かったのか」を判断することが大切です。
また、最も注目されるのは速報値ですが、改定値や確報値も事前予想と大きく違うと、為替相場が大きく動くため注意しましょう。
FXで参考にしたい経済指標 「消費者物価指数」
■ 消費者物価指数とは
消費者物価指数は、日銀も金融政策の材料にする指標で、一般消費者世帯が購入する商品とサービスの総合的な価格の動きを指数化したものです。
日本の消費者物価指数は、東京都区部と全国に分け集計され、インフレの趨勢をみる指標として使われています。
金融当局の政策判断の材料にもなることから、金利の先行きを判断するための重要な指標です。
■ 米国消費者物価指数とは/CPI(Consumer Price Index)
米国消費者物価指数とは、都市部の消費者を対象とした小売・サービス価格の変化を算出した指数で、米国のインフレに関する最重要経済指標です。
消費者物価指数の上昇はインフレを意味するため、「利上げがあるかもしれない……」と判断します。
これは、米国の金融政策を決定しているFRB(米連邦準備理事会)やFOMC(米連邦公開市場委員会)が、この消費者物価指数を参考にして今後の金融政策を決定しているからです。
消費者物価指数はそれほど重要な指標なのです。
ちなみに、インフレの度合いを測る指標として、生産者物価指数(PPI)もありますが、消費者物価指数の方がより生活実感に近いため、生産者物価指数よりも消費者物価指の方がより重要視されています。
■ 米国消費者物価指数の発表時期と時間
米国消費者物価指数(CPI)は、毎月15日前後、ニューヨーク現地時間午前8時30分に、米国労働省労働統計局が前月分の結果を発表しています。
日本時間では、夏時間の4月~10月は21時30分、冬時間の11月~3月は22時30分になります。
また、生産者物価指数が発表された後に、消費者物価指数が発表されますので、他の指標との比較も重要になります。
FXで参考にしたい経済指標 「生産者物価指数」
生産者物価指数は物価情勢を知ることのできる指標です。
日本の卸売物価が輸送費、流通費を含むのに対し、生産者物価は出荷時点での価格ですので、アメリカの生産者物価指数とは異なります。
■ 米国の生産者物価指数の見方
米国では、米国労働省が米国製造業者の販売価格の動向を測定・算出し、指数として公表しています。
米国生産者物価指数は、消費者物価指数の発表の前に発表されますので、消費者物価指数の動向を占う指標として注目されています。
米国生産者物価指数の中では、「製造過程別・完成品」の「コア指数」が、「原材料や中間財といった途中過程よりも、完成品のほうがより消費者の生活実感に近い物価である」との理由で注目されます。
FOMCも金融政策の判断材料として「コア指数」を重視していることからも、その重要性を理解いただけるはずです。
■ 生産者物価指数の判断の仕方
金利差が相場のテーマとなっている場合には、「米国生産者物価指数(コア指数)が上昇」すると、インフレ懸念が台頭するため利上げを行う可能性が高まります。
よって、ドルが買われる要因となります。
いっぽう、インフレが米国の景気減速懸念となっている場合には、「米国生産者物価指数(コア指数)が上昇」すると、インフレ懸念が台頭するため、米国経済の景気減速が懸念されるようになります。よってドルが売られる要因となります。
このように、指数だけで判断するのではなく、相場全体のトレンドや背景も念頭に判断しなくてはなりません。
そのためにも、
1.発表時の相場のトレンドを認識すること
2.事前予測との比較をする
などして、発表時の相場のトレンド、テーマを認識しておきましょう。
また、米国生産者物価指数などの重要経済指標は、アナリストの事前予想が流れていますので、そこからどれだけ上ブレ・下ブレするのかにも注意を払うといいでしょう。